歌について

『じゃんがら念仏踊り』の歌は地域ごとに、その地域に合った歌を選んで歌っています。

例えば、小名浜や豊間、沼之内、四倉など浜の方では、

  「赤井嶽から 七浜見ィれば 出船入船 大漁船」

という歌を歌い、平地区をまわるときは、


  「いわき平で 見せたいものは 桜つつじに じゃんがらおどり」

という歌を歌います。
また地域によって歌う歌は違いますが、だいだいその地域に5曲くらい伝えられていて、その歌には意味があります。

仏の供養や孟蘭盆に関する歌

"早く来い来い 七月七日 七日過ぎれば お盆様"

"鉦や太鼓は だてに叩かぬ 仏の供養だ 南無阿弥陀仏"

"念仏申したって だてには申さぬ 仏の供養だ 南無阿弥陀仏"

"盆はうれしや 別れた人も 晴れてこの世に 会いに来る"

"じゃんがら念仏で 供養すれば 地下の仏さんも うれしかろ"

"念仏するのは 仏の供養 田の草取るのは 稲のため"

"稲にゃ穂がでる 日和は続く いわき平は 盆おどりよ"


大漁や豊作を祈願、予祝するような歌

"米のなる木で わらじわ作りゃ 踏めば小判の あとがつく"

"今年ゃ豊作 穂に穂が咲いて 道の小草にゃ 米がなる"


郷土自慢のような歌

"いわき内郷で 見せたいものは 回転櫓と じゃんがらおどり"

"来るな繰るな 勿来を越えて 盆にゃ来てみろ いわきのじゃんがら"

"いわき西郷で 見せたいものは 能満寺虚空蔵の じゃんがらおどり"

"いわき名物 じゃんがら念仏 仏の供養だ みんなでおどろうよ"

"一度来てみな いわきの平へ 町は火の海 じゃんがらおどり"


教訓調の歌

"親の意見と ナスビの花は 万にひとつの 無駄はない"


艶っぽい歌

"裏の井戸端で 米とぐ娘 腰を振り振り 白汁流す"

"主を待ち待ち 尼子の橋に 待てば出てくる お月様"

"色で迷わす 西瓜でさえも 中にゃ苦労の 種がある"

"踊り踊るなら しな良く踊れ しなの良い娘は 嫁にとる"

"盆が来たとて なにうれしかろ ほどいて 縫うひとえもの"

"川の向こうに なじみを待てば 霧シ雨でも 気にかかる"

"お月様でさえ 夜遊びなさる ワシの夜遊び 無理はない"

"星の数ほど 女はあれど めざすは女 ただひとり"

"浅い川なら 膝までまくり 深くなるほど 帯をとく"

"入れておくれよ かゆくてならぬ 私がひとりが 蚊帳の外"

"お前どこ行く 青筋立てて 犬はふりまらで 旅をする"

"踊る踊る娘は なぜ足袋はかぬ はけば汚れる 底抜ける"

夏井 芳徳  「ぢゃんがらの夏」より